シーゲル分析のエビデンスレベルは低い
こんにちは。
米国個別株投資を長期で行っている個人投資家の多くは
アクティブファンドの大半がインデックスファンドに勝てないという事実を語りながら、
シーゲル分析に基づき、
連続増配しているような高配当優良企業への継続的な投資をすることでインデックスファンドに勝つことを夢見ている
とおもいます。
不況時に高配当という利回りの高さが株価下落のブレーキになり、その不況時の配当再投資が好況期のトータルリターンを爆発的に押し上げる。
上記の文言を信じて、フィリップモリスや、コカコーラ、ジョンソンアンドジョンソンなどに投資をしている人は多いと思います。
しかし、この分析は本当に正しいのでしょうか?
統計学におけるシーゲル分析は、
過去にさかのぼってリターンを比較するという、後ろ向き研究になります。
未来のことを知りたいという思いから統計学は生まれたとは思いますが、
シーゲル分析のエビデンスレベルは未来を語るには不十分です。
新しい治療方法を比較する医学論文では、同じ条件を集めてランダムに割り振り、新しい治療のグループと、既存のグループの比較をしたものが再現性が高そうという意味に置いて質が高くなります。
さらにそれらの同じような治療の論文を比較したものが、最も信頼性の高い論文となっています。
シーゲル分析は未来を語るのに十分な根拠を持っているでしょうか?
シーゲル分析について、語弊のある言い方をすれば
1957年から2003年までのトータルリターンが最も高かった企業を調べただけ
とも言えます。
投資家の目的はトータルリターンを最大化する
だと思いますが、シーゲル投資の再現性は高いでしょうか?
シーゲル投資は非常にワクワクする夢を与えてくれますが、S&P500ETF投資への再現性と比べてどうでしょうか?
S&P500ETFへの投資は、どの時代に買っても、平均トータルリターンは6.9%です。
だからこそウォーレンバフェットは自分の遺産をS&P500に投資するよう支持しているのでしょう。
医者として言わせてもらえば、禁煙の時代にフィリップモリスが、健康志向の時代にコカコーラが、50年後も存続しているかどうかは怪しいと思ってしまいます。
米国市場の強さとは、
需要のない企業はさっさと潰れ、弱肉強食の中で、世界中にインパクトを与えるような企業が次々と生まれる。
だからこそ米国市場には世界中から投資資金が集まり、右肩上がりの成長を続けてこられたのではないでしょうか。
未来のことは誰にもわかりません。
しかし、わからないからこそ、大切な資金はコツコツとS&P500ETFに投資していくことがベストだと思っています。